社会問題を考える


by phtk7161
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臓器移植法改正について(1)・・・A案賛否その争点(問題)の難しさ

臓器移植法改正A案が衆議院を通過した。A案は、臓器提供にかかわらず「脳死」を人の死としまた生前の本人の提供拒否がなければ家族の同意のみで移植を認めており、従来の法案よりかなり移植提供拡の可能範囲が拡大されている。

臓器移植法のける問題の難さは、提供する人間の「死の可能性」と提供される人間の「生の可能性」その双方に人間の尊厳(生命の尊厳)の問題が関わってくるところにある。つまりどちらの命も「尊い(大切だ)」という点である。これには「その人の生命はその人自身で決定すべきである」という最も根本的な自己決定の問題もからんでいる。

A案賛成・反対双方の意見はそれぞれの立場からみればそれぞれ十分な理由がある。端的に言えば双方の中心的理由は賛成派が物理的・現実的理由、反対派は観念的・精神的理由・・・ただし観念的・精神的といってもこの場合のそれは人間の根幹に関わるところの相当に深いレベルである・・・ということになるであろうか。

A案の賛成者は「海外での移植しかなかなか出来ない現実はその国の人の移植を遅らせることになり、それは結局日本人のエゴと受け取られ日本の評価にとってもマイナスである」「外国では脳死が人の死として一般的である」などの点を理由としてあげる。そしてA案により国内での提供臓器の絶対量を増やし提供の迅速な流れを作り国内移植を容易にすることで「助かる命を助けたい」とする。

これに対して反対者は「何をもって死とするかの評価はその国の文化や風土的なことも関わる」「臓器提供の同意について、家族の精神状態(家族を失ったショック)からみて同意の有無を脳死からの短い時間で冷静に判断することは困難である」「脳死が死として一般化されればそのまま治療を続けたとして、医師が真摯に対応してくれるか不安がある」「A案になると臓器の提供に対しての無言の圧力(プレッシャー)が高まるなどを理由としてあげる。そして人の死の判断が緩和されることで、移植側の現実的要望の高まりで脳死となった人間の「生命の尊さ」が軽んじられる危険を懸念する。

どちらも相当に説得的だ。私に移植を受けたい立場の家族がいれば当然「何とか助けたい」としてA案に賛成するだろうし、脳死状態の家族(特に子供の場合)がいればそう簡単に移植側の事情で「もう死んだとされてたまるか」という気持で反対するだろう。だから、私にはこの問題をどうすべきか今の時点では判断できない。

ただ今の時点でも、仮に外の影響(移植を待つ家族や医者や世論まで含め)をうけずに、冷静に・・・かなり困難なことではあるが・・・死についての考えを自らの信念で判断しその結果臓器移植に同意するのであれば、それはかまわないだろうと思う。ただA案が通り移植の数が増えたとしても、国内移植における運用面のありかた如何では、また更なる問題点(医療機関側の量的対応可能性、あるいは極端な場合ブローカー存在の危険性など)もでてくる。そう考えるとA案が可決し国内での臓器移植の現実的運用が可能になったとしても、その先には解決されるべき問題点がまだまだ山積しているのも確かだといえよう。
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by phtk7161 | 2009-06-19 04:22