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社会問題を考える


by phtk7161
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「政治と金」の問題の本質・・・「政治と(具体的)見返り」の問題

小林陣営の経理担当者が現金授受について、公選法に定められている収支の記載をしなかった事件が明るみになった。以前のべたことだが、昨年の衆院選は当初の予定より1年近く延びた。麻生政権は誕生直後(一昨年)に選挙管理内閣としてすぐに選挙をやる予定だったが、未曾有の金融問題に対する景気対策ということで、結局先延ばしにしたわけだ。

選挙の先延ばしの理由として、経済対策面もあったとは思うが、しかし本線では間違いなく政策面評価での支持率回復待ちと翌年のサミット出席、そしてなにより民主党への兵量攻めの意味合いがあったことは確かだ。

現に小林千代美陣営の関係者も取材先に「2008年の末から事務所の維持費がどうにもならなくなった」ということを認めている。確かに2008年の秋には予定通り(当時の大勢なら)なら選挙は済んでいたわけだから、そうなって当たり前だったと思う。そういう意味では自民党の兵量攻めは確かに効をそうしたといえよう。

ところでなぜ小林千代美陣営が金を表に出せなかったのか。それはおそらく金のでどころを余り公にしたくなかったことと運動員の確保にからんだことだと思われる。残念なことだが純粋にボランティアで選挙を手伝ってくれる人間を確保することは難しい。一部の人間を除いて、バイト代を運動員に払うことは禁止されている。使い道にそれを書くわけにはいかないから、そういうこともあったのかもしれない。

もっともこれは小林議員だけではない。前回参議院選挙で公明党の松あきら議員が繰り上げ当選したが、そのときには自民党の議員が運動員に金を払った(バイト代)問題で辞職している。だからこの手のこと(政治と金)は民主党が自民党がというより、議員それぞれの金銭的台所事情と運動員の確保をどううまくやるかの問題にすぎない。

今自民党も、政権から滑り落ちた以上台所事情はかなり厳しい。野党だった時の民主党の「選挙と金」についての苦しさ(あぶなさ)に、今後自民党も直面することになろう。

自民党への政党交付金は大きく減った。民主党との衆院での数の歴然たる差をみれば、企業からの政治献金も減るだろう。落選議員にとっては日常かかる費用の捻出(事務所家賃・人件費などの維持費)でさえままならないのが現実だと思う。

そういうなかで自民党が企業団体献金を廃止し、クリーンな「政治と金」を標榜して法案に賛成することができるかどうか。無理だと思うが、仮に賛成したとしても個人献金を隠れ蓑に、実質これまでと同じじゃないか(金の出どこはもとをたどれば同じ団体や企業だったというような)ということもありえる。もちろんこれは与野党とわない。

その意味では、企業団体献金禁止が法制化されたとしても、違法で逮捕されるかされないかは結局うまくやれるかやれないかの「ノウハウ」にすぎないという面も否定できない。だからこれで問題がすべて解決というわけにはいかない。しかしそれでも企業団体献金禁止の制度が、問題解決への一歩前進であることには違いない。今は抜け道をより防ぐことをめざし、当然法制化を進めなければならない。

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ところで、この「政治と金」の問題の本質は実はもっと奥深い。選挙運動のありかたに関して言えばたとえ公選法には反していなくても、職を世話してもらったり将来の仕事面などでの見返り(何もこれはゼネコンに限らない、学生ボランティアや学会員でもそういう面はある)を期待して、選挙に協力する運動員もいる(もちろん全員ではないが)。

バイトとしての現ナマ(一部をのぞいてもちろん違法)か将来の見返りか。生々しくないだけ一見後のほうがましなようにみえるが、額からいえば後者のほうが将来的にはずっと高くつくといえる。その意味では、団体や個人(何らかの団体や企業)が何らかの具体的見返りを期待して選挙に関わる限り、それは選挙でのバイト代以上(違法)にもっとやっかいな問題といえる。

「政治とみかえり(具体的な利益)」。この問題が解決されない限り、本当の意味での「政治と金」の問題の解決はないといえるのである。
by phtk7161 | 2010-02-18 03:23