社会問題を考える


by phtk7161
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トヨタ問題にみるアメリカの政治の現実・・・ロビイストという存在について

トヨタのアメリカでのリコールに端を発した問題は、なおとどまる様子をみせない。

容易に改善されないアメリカの景気や雇用の状況。またGMの落日にみられるアメリカ自動車業界のシェアを巻き返しの野望。その端緒としての側面が今回の問題の背景にはある。

ところで、私たちはアメリカ政治の意思決定システムについて考えるとき強い影響を与えるある存在を知っておく必要がある。それは「ロビイスト(院内工作員)」という存在についてだ。

ロビイストとは、いろいろな業界から要請をうけ各議員に具体的法案への賛否(各種方面への根回しも含め)を働きかける人物である。こういう人物の議員へのはたらきが、いわゆるロビー活動といわれるものでその影響力はかなりのものがある。

ロビイストと議員の関係を少し前の日本の政治の役割でたとえるならば、いわゆる「派閥の長(親分あるいは幹部)」がアメリカの議員で、その派閥に属する「平均的議員」がロビイストということになる。いうなれば、派閥の長に働きかけてある法案の成立(あるいは不成立)をめざして行う平均的議員の活動、それが「ロビー活動」というわけである。

ブッシュ政権下でのトヨタは絶頂期にあったといっていい。その躍進の要因には、もちろんトヨタの優れた技術や組織システムがあることはいうまでもないが、その間の「ロビー活動」への対応もみすごすことができない。すぐれたロビイストによるロビー活動を展開していくことで、これまでトヨタはさまざまなバッシング的な動きを乗り越えてきたはずだ。

しかしッシュ政権からオバマ政権へと政権交代(共和党から民主党へ)したなかで、トヨタのロビー活動への対策が後手に回ったのではないか。今回の一連のできごとの背景にはそういう原因もあるような気がしてならない。

もともと無茶な理屈をつけて企業から何がしかの金をぶんどっていく手法は、アメリカの弁護士たちの得意とするところ。生真面目にやっていてもそれが誰かのマイナスになる限り、特に何もしなくてもその者から足を引っ張られるのがアメリカだ。その仕掛けがはじまったとき、足をひっぱる役割のロビイストもいれば、それを防ぐ役割のロビイストもいる。馬鹿みたいな話だが、これがアメリカの政治の現実である。

今回トヨタの社長が公聴会に招致されることになったが、この決定にも当然ロビイストの問題が絡む。なんとか巻き返しをしたいアメリカ自動車業界と、リベラルだが貿易に関しては保護主義的色彩を持つ民主党政権。両者があわされば、自動車技術を誇るあのトヨタに何がしかのトラブルがおきれば、それを防ぐ(批判を)有効な対策(有効なロビー活動)をトヨタがとれない限り、これも当然の帰結であろう。

トヨタが有効な対策がとれなかったその原因が、民主党政権に近い議員へのロビー活動が弱かったからか、それともロビー活動自体の力が低下した(オバマ政権になって)からか。そのどちらかは私も分からない。その分析はその種の専門家にゆだねたいと思う。

ただロビイストについては、ロビイストは登録制でだから彼らがまともな存在であると主張する向きもあるが、私はそうはおもわない。実際オバマ政権では今回その規制も検討された。学生時代たまたまロビイストを知ったとき、私はその存在について「何なんだこの連中」という感じでどちらかといえば否定的印象をもった。

私がそういう印象をもったのは、民意の洗礼をうけていない者が金によって現実の法案成立に強い影響を与えるという政治の意思決定のありかたに疑問をもったからだ。そういう意味では、所詮金にものをいわせて雇われる「非民主的な政治工作(仕掛け)員」というのが、私のロビイストについての素直な感想である。

今度のトヨタの問題でロビー活動はどうなっていく(いた)のか。今のオバマ政権下でのロビー活動への対応も含め、この問題を私も興味深く注目しているところである。
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by phtk7161 | 2010-02-20 03:04