社会問題を考える


by phtk7161
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小沢一審判決をどうみるか

小沢元代表に関する政治資金規正法違反について、一審の判決は「無罪」だった。

「判決は、小沢を限りなくクロに近いグレーだとみている」という意見も多いようだ。事前の了承を認めながらも、共謀に関する「故意」が十分証明されていないとして無罪となったことから、そうした見方になるのだろう。

あと一歩及ばず。指定弁護士の検察役はそう思っているだろうし、「小沢を有罪に」という人物たちも同じだろうと思う。そうなるとおそらく「控訴する」という見方も当然でておかしくない。

もっとも控訴したとしても、あと一歩の「一歩」を埋めることはそう簡単ではない。共謀共同正犯とする以上、少なくとも正犯と「同視」できるに近い故意は絶対に必要である(両者が助け合って利用し合う関係ならそうであって当たり前だ)し、そうであれば計画の内容への理解は「相当に具体的」でなければならない。そうでなくてもすむ(ある程度の大枠ですむ)のは、犯罪を積極的に指示した(たとえば暗殺を指示した暴力団の親分と子分のような場合)ような場合だけである。

政治資金規正法では報告書についての責任者は出納担当となっている。つまり石川議員(当時秘書)たちがそれにあたるわけだが、その立場にない小沢方からことさら積極的に「報告書には虚偽の記載をしろ」といった、あるいは報告書に実際に記載したのでないかぎり、一般には出納責任者ではない小沢を責任者だった石川たちの行為(虚偽記載)と同視することは難しい。

同視できる(共謀あり)には、「出納担当とかわらないといえる程度に内容を具体的に理解していたことを証明することが必要だ」そう判決はいっているのである。

判決に出ている限りでみると小沢への当初の報告とその後の事実の変動、そのこへとへの理解の齟齬、さらにはそもそも出資した資金についての理解にも食い違いがあるようにもみえる。そういう点から考えると、攻撃側が「あと一歩」だと思っていても、出ている証拠からすればその一歩はかなり遠い一歩なのではないか。私はそう思う。

さらには検察審査会の問題も、今回棄却自由にはあたらないとされたが、裁判で新たに検討すればまだまだ不透明な点も多く、控訴審ではちがった結論もありうるだろうし、そうでないとしても、別の角度かみて今回の手続き上の不正(虚偽の報告書)と規正法違反の罪質の重さ(重罪ではない)を加味すれば、捜査の兼廉性の問題を理由に棄却することも可能のようにも思う。

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そもそも今回の問題は本来立法論で解決すべきことである(見做し既定の創設や政治家本人の責任の明記など)。それを通り越して強引にやろうとすると捜査は無理筋となり、これでは「冤罪」も生みかねない。そういう意味でも、今回の問題を政治責任はともかく法的責任で裁こうとすることは妥当でなかったといえる。

まして本来の涜職の罪を裁きたいができないから、潜脱的に政治資金規正法で「やっちまえ」とすることなど論外である。某元検察官は「政治資金規正法は量刑が重くなったから、これは涜職の範囲から漏れた犯罪をうめるためのものとなった」といっていたが、それは明らかにおかしい。量刑の重くなったことが、罪質をかえることにはならない。涜職で裁けないなら、犯罪要件をかえた、涜職に関するあらたな刑を創設すべきなのだ。

特捜の捜査方のありかたをめぐっても、問題の多かった今回の事件。今度の判決は広い意味でこうした検察へのペナルティも加味されてだされた無罪判決だったようにも私には思えるのである。
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by phtk7161 | 2012-05-01 22:35