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社会問題を考える


by phtk7161
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北朝鮮の核実験にさいして

昨日北朝鮮で核の実験が行われたようだ。
日本も新たな経済制裁などの動きをすると思われる。
ただ、正直いって、日本としては核抑制に効果があげられるような手段はあまりないのが現実だと思う。
北朝鮮はアメリカしかこの問題の相手としてみなしていないからだ。

日本の国民が理解するべきことは、いくら日本だけで「悪の北朝鮮をこらしめろ」といってみても北朝鮮問題にかかわる他の韓国、中国、ロシア、アメリカが連携した動きでなければ、国内での自己満足で終わってしまうということ。

安倍慎三首相は北朝鮮の核実験後の記者会見では、生き生きした目だった。
これが怖い。
もしこの問題で、彼が正義のヒーロー的ノスタルジーにひたって動きをするなら、かなり防衛問題にリンクさせて、強引な動きをすることもありうるだろう。
しかし、この問題で重要なことは、「どう国民の生命を守るか」ということであり、いたずらに危機意識をあおりたて、国民を戦争不可避のような錯覚に陥らせてはならない。
何が問題のポイントか理解し、どういう解決がよいか、そのための妥当な手段を考えていくのが重要である。

そもそも、北朝鮮の動きに拍車がかかったのは、イラク戦争が大きな原因だと思う。
先制攻撃的自衛権とやらの「イラク侵略」があったために、北朝鮮のような独裁国家は「核をもたなければやられる」と思いに強く拍車がかかった。
さらに、アメリカの金融制裁。
その結果の、核実験ともいえるだろう。
したがって、この問題の一番のポイントはやはりアメリカである。

北朝鮮はまともな経済政策ももたない幼稚な国家だが、プライドだけは高い。
こういう国家の扱いは確かに難しい。
仮に崩壊(軍事的手段によるよらないにかかわらず)させることができたとしても、北朝鮮の問題はむしろそこらが、本番だといえる。
北朝鮮国家の再建のために、経済的な問題や難民の問題は避けて通れない。
日本も相当の費用の負担と、在日の人がすでにいる以上、かなりの難民、移民の受け入れをもとめられるだろう。

そうなったとき、日本はどうするのか。
中国、韓国、ロシアなどは、崩壊後のありかたが、各自の国家に大きな影響をあたえるために、この問題で慎重な動きをとっている。
これは、ことが隣接している国家の問題である以上当然のことといえよう。
日本にとっても、当然今範疇に入れておくべき問題のはずである。
この問題意識をもたずに北朝鮮の問題を考えても、意味がない。
しかし日本の多くの政治家は「たおせ、こらしめろ」だけが眼中にあって、その先のことをあまり意識していないようにみうけられる。

アメリカは、自国にミサイルが届くことも考えてはいるだろうが、そうだとしても国家間はかなり離れているわけだから、崩壊後の面倒は先の国ほどではない。
ある意味軍事力の行使はわりと「やってもかまわない」的立場である。
ただ、イラク、アフガン問題が苦戦し、パレスチナ問題も混迷をふかめているだけに今北朝鮮をやるのは「めんどくせえな」といったとこだろう。
その程度である。

安倍政権は、この問題にはどうも、アメリカの軍事力にすべてたよって、その点から処理していこうという発想が、その中心を占めてるようにおもわれる。
それに乗じて、国内の防衛力を整備し、本格的軍隊をつくっちまおうという意図は大いにあるだろう。
しかし、すべてアメリカとともにでいいのか。
そのプランにのっかって軍事攻撃した場合の過程ではどういうマイナス(生命、財産)がありうるのか。
崩壊後はどうするのか。
もっと多角的に考えていくべき問題である。
選択肢をせばめることは、もっとも愚かなことだと思う。
by phtk7161 | 2006-10-10 11:52