社会問題を考える


by phtk7161
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時津風部屋のリンチ事件にみる相撲界の体質

  時津風部屋の17歳の力士が亡くなった問題で、今日北の湖理事長が記者会見を行った。聞いていて思ったことは、やはりこの人は横綱の時(というよりむしろ力士なった時からといべきか)から世間の常識とは無縁のままでここまで来たのだなということだ。彼の時代相撲部屋に入門する力士は中高生の年齢で当たり前の時代だった。そこで大方の力士は20代~30代前半くらいまで人生を過ごす。北の湖理事長もそうだ。

  引退以後親方になるには年寄株が必要であるし、その取得には莫大なお金がかかる。横綱ではない力士の場合、親方の身内と結婚するかあるいはよいスポンサー(ここではお金持ちを意味する)を見つけられないとなかなか部屋を引き継ぐことは難しい。しかし横綱ともなると現役時代からいいスポンサーがついているし、外国人力士以外の横綱(大関)であれば他の番付の力士に比べ親方になることは比較的容易である。横綱にはさらに一代年寄りや期限付きの年寄りの資格も認められている。

  私の小さい頃相撲の巡業がきたことがある。そのとき横綱がある家に一泊することになった。その家はそのために増築した(改築だったかもしれない)という話を聞いた。このエピソードひとつとっても、横綱が如何に特別な人間として丁重に扱われてきたかが分かる。引退せず横綱である限り、横綱はある種「王様」扱いされるといっていいであろう。もっともそれは現役までのこと。引退したら別なのだ。それを引退後も本人が自覚せず、現役時代と同じ気持ちでいれば文字通りの「裸の王様」となってしまう。そしてそうなっているのが、まさに今の北の湖理事長である。

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 今日の会見は、相撲界が如何に一般社会と離れた常識を持つ世界であるかを教えてくれた。人の命が失われているのである。たとえ合法的な稽古であっても、死亡に関する問題がおきたならその過程を具体的に検証することは本来当たり前のことである。ましてや稽古とはいえないしごき(というかリンチ)による暴行が絡むケースで人が亡くなった以上、これはたとえ警察の捜査が入っていてもそれを妨害しない範囲で独自の調査を行うべきであろう。それをしないということは、結局は今回の出来事も亡くなっていなければ本来は「あり」なのだということを相撲界自体容認していると思われても仕方がない。

 今の時点でも死亡との具体的な因果関係がどうであれ、時津風親方は全体としてみれば少なくとも親方として力士の生命の安全管理に「重大な過失(本当は故意行為かもしれないが)」はあったといえるはずだ。したがってとっくに親方業を辞して当たり前のはずである。そうなっていないのは、本人がそうしないだけでなく、相撲界も積極的にそうさせないからである。これでいいはずがない。

 しごきが容認されるケースとは受ける本人が根底でそのことを容認していることが前提である。やる側がそれを本人の「将来のため」としてやったとしても、本人がそれを(暴行)受け入れる余地は全くなく「やめてほしい」と思っていれば(特に土俵外での)、その行為は立派に刑法上の「暴行」「傷害」である。被害者の承諾がない暴力は明らかに違法行為であることを、相撲界も認識しなければならない。もちろん土俵上での稽古による通常の有形力がそれが妥当な範囲である限り(故意あるいは過失により死に至らしめる、乃至は重大な損傷を与えるなどではない行為)合法であることは言うまでもない。

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 一連の流れを見てきて気になるのは、どうも今回のケースは特殊とはいえないのではないかということだ。時津風(元小結双津竜)のみならず、北の湖理事長をはじめとする相撲界全体の親方衆現力士などの発言行動をみているとどうもにぶい。死に対する感覚が明らかに麻痺している。

 もともと相撲界の暴行は今に始まったものではない。もうかなり前になるが元大関北天佑の弟(関取でなかった・・・幕下以下の力士であった)に対する現九重親方(元横綱千代の富士)の暴行(リンチ)事件や元横綱双羽黒(北尾)の付き人に対する暴行(ナイフをちくちく刺して喜んできたというもの)あるいは同人の親方の奥さんへの暴行(もっともこれは本人によれば親方ともめて止めに入った奥さんにあやまって手が当たったとしている)事件が週刊誌を賑わしたこともある。

  しかし今回の事件は人の生命が失われているのである。これまでの暴力をめぐるケース(週刊誌に載ったような)と同じレベルの事件ではない。その感覚をもてない時津風親方や理事長をはじめとする相撲界は明らかに狂っているとしかいいようがない。もっとも理事長は、今回の問題が外の社会のレベルの問題となった今どう対処していいか分からないのかもしれない。もしそうならそれは理事長として能力不足ということであり、彼は理事長にはふさわしくないということになろう。

 さらにいいたいのは、この問題で相撲協会の横綱審議委員をはじめとするご意見番のことだ。海老沢氏はそれなりの見解をいったようだが、その他の委員はどうなのか。あの朝青龍の問題では、はっきりとした物の言い方していた人物もいたではないか。特に内館委員など引退勧告までしていた。今回の事件はその程度の問題(朝青龍問題)!ではないのである。人が亡くなっているのだ。相撲界に対し自ら真相解明に努めるよう直(じか)にあるいはメディアを通してでもはっきりいうべきであろう。そうできないのなら、こういう人物達も所詮「その程度」の人物ということである。
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by phtk7161 | 2007-10-01 19:09