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社会問題を考える


by phtk7161
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サブプライムローン問題の責任の本質・・・政府を批判する資格などない経済メディアとアナリスト達の責任

 今日の日経平均は大幅反落。株価はここのところいくぶん持ち直してきているが、しかし当面株価の低迷は避けようがない。従前まで戻るには、ある程度長い期間がかかるだろう。

 ところで今回の株暴落の原因、それがサブプライムローンであることは間違いない。メディアや評論家などは、他にもいろいろ補充的な理由をつけるが、もしサブプライムがなかったらこういう状況になることはなかったはずだ。原油の価格にしても、結局はサブプライムに端を発して金が投機的に動いたに過ぎない。そういう意味では、サブプライムこそ今回の株価暴落の唯一の原因であると言っても過言ではない。

 株価が下がりつづけて以降、メディアや評論家は政府の株価対策まずさ(遅れ)を批判している。なかでも特に馬鹿げているのは次のような意見。「アメリカは迅速に今回の株式暴落の問題に対し経済政策を発表し、次々テコ入れを行っている。それに対して日本は・・・。アメリカのようにテキパキ株価対策ができないものか。これでは今ようやく定着しつつある国民の個人資産運用の流れに水を差す。こんな政府では駄目だ。・・・etc。」

 しかしちょっと待ってくれである。その前にまだ批判(自己批判を含めて)しておくべきこと(対象)が先にあるだろう。それをしないでおいて、政府を批判する資格は彼らにはない。

 投資における(個人)資産の運用にリスクは確かにつきものだ。しかしあまりにデタラメな環境下での資産運用はバクチである。バクチと投資は同じではない。バクチをあおり、それを一般の国民に勧めてはいけない。

 サブプライムローンは低所得者に2年間は低利で住宅ローンを貸し出しその後は10パーセントを越える高金利になるというデタラメなものだ。低所得者の収入が2年後10数パーセントの金利に耐えうる程度上昇しない限り、破綻は見えていた。収入が上昇しない場合、借り換えや住宅の売却でなんとか金利上昇によるリスクをしのごうとしても、結局貸し出し側は誰も貧乏くじなど引きたくないからそううまくはいかない。

 ようするにこの株価高騰をもたらしたサブプライムローンというものは、最初から話しにならない馬鹿げた企画だったわけだ。真面目に考えれば、最初から通るような話ではなかったのである。

 それなのにメディアの経済番組や経済アナリスト達は、このインチキに警告を発しなかった。それどころかむしろ煽っていたといえる。彼らにとって株価さえ上がれば、その中身はどうでもいいのである。 それは道端の石ころさえそうであって、価値の幻想さえ増幅させてくれるものならなんでもOKなのだ。なぜならそれは、彼らに大きな報酬をもたらしてくれるからである。


          ☆         ☆         ☆


 それにしても今回の問題を引き起こしたサブプライムローンという企画(こういっていいであろう)。それはこれまでバブルもたらしたどの原因よりも一層ひどい。過去日本では土地やITがそうだし、アメリカでも鉄道・ラジオ・ITなどが株価の投機的高騰をもたらしてきた。ただそれでも、その価値の幻想のもとは有機的物体だった。

 しかし今回の価値の幻想は金利変動ローンという企画それ自体である。有機的物の価値の場合客観的評価はあってないようなもので・・・もちろんある程度常識的な範囲というものはあるはずだが・・・高騰を招きやすい。これに対し今回の場合は中身・・・ローンの仕組み・・・を見れば、論理的にかなり無理な企画ということは明白である。2年後低所得者の収入が大幅に増える経済政策が取られていない限り通る話ではない。


 そのインチキ話を経済メディアやアナリストは誰も真面目に批判しなかった。彼らにとって・・・飯のタネである・・・株価にマイナスの影響を与えるような意見はタブーだからである。いつかは崩れるインチキ企画。それを容易に予想できるリスクを見逃しながら(しかも故意に)、一方では積極的に資産運用を国民に勧める。今回の問題では彼らの責任もまた大きいといえる。原因を作りだした責任という点では、彼らは決して他人ではない。

 あらゆるものが証券化される今の時代は、知らないうちに高リスクのものが自らの資産の運用の過程に容易に入り込んでいる。そういう時代にあっては、資産運用を支える有機的物体や無機的な計画(企画)そのいずれに対しても、その客観的価値(期待値も含めた)を厳しく見抜く力が必要なはずだ。それを見抜く力もなくあるいは見抜けてもそれを口にできない経済メディアやアナリストなど、唯のサクラにすぎない。


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 ことが起こってからの、対策のまずさを批判することももちろん重要だろう。しかし今回のことでもっと重要なことは、こういうインチキ企画を簡単に通してしまう現代の経済社会のありかたである。一般の国民に積極的な資産運用を求めるなら、バクチまがいの原因による投資のリスクは軽減しなければなならない。そのためにはインチキ企画を未然に投資の対象に入れないシステム作り、それが現代の経済メディアやアナリスト達に・・・さらにはこの手の経済に携わる役人や政治家にも・・・今もっとも求められていることなのだ。

 政府の株価対策のまずさを口々には厳しく批判する一方で、暴落を生みだした唯一の原因であるサブプライムローンの無謀さとそれを企画したアメリカに対し、こと今に至っても沈黙を通しつずける彼らの姿には、もはやあきれるほかない。どこのMBAをでようが、どういうりっぱな肩書きをもっていようが、インチキ企画のリスクをきちんと情報公開できない限り(事前に国民に知らせることができない限り)、彼らは詐欺師そのものだ。そういう点では、彼らに政府の株価対策について批判する資格などない。株価対策で動きの鈍い政府以上に、今回の問題での彼らの責任は大きいのである。
by phtk7161 | 2008-01-28 18:01