人気ブログランキング | 話題のタグを見る

社会問題を考える


by phtk7161
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

イスラエルによる入植地の拡大とパレスチナ問題・・・未来に目を向けた譲歩の必要性

  イスラエルがヨルダン川西岸に数百個の住宅建設を決定した。入植地の新たな拡大である。そもそもイスラエルとパレスチナの停戦協定では、新たに入植地を設けることの禁止を取り決めている。今回の行為はこの協定に反しているはずだが、イスラエル側は「10年前に決定しその後凍結されていた入植計画が解除されだけ。」と反論している。詭弁に過ぎないと思うが、なかなか進展しない和平プロセスにイスラエルもごうを煮やているのだろう。

 
 イスラエルの一方的建国宣言から長い年月が経過したが、現状は当時から何の進展もない。ユダヤ人とパレスチナ人が共存していた場所で、大国(イギリス)の戦争(第一次大戦)を有利にするための戦略的意図により双方の人種がこれに振り回され、その結果パレスチナ問題は起きた。そういう点では、ある意味両者とも被害者でもある。ただ両者の被害者の度合は、大きな差がある。この問題のスタートから現在までのことを理解している人間なら、その大半はこういうはずだ。「パレスチナ人こそ、この問題の一番の被害者だ。」と。


 一番の被害者が明らかであるこの問題の解決が、どうして一向に進まないのか。イスラエルが一方的に建国を宣言できた背景には、いわずと知れた軍事大国アメリカの存在がある。番長の存在があってこそのイスラエル。そしてこの厳然たる事実こそがこの問題の解決を困難にしているのである。

 
 国連で何度イスラエルの非難決議を可決しようとしても、アメリカがそのたび一国だけ拒否権を発動し非難決議は可決しない。この現実が、イスラエルのパレスチナ自治区への進行を許しそれがまた暴力の連鎖(パレスチナによるテロ)を生む。

 
 メディアがパレスチナで起きた紛争(事件)について、時に先に手を出したのはパレスチナ(例えばテロなど)という伝え方をする。事実その通りの場合もあるが、本当はその原因(紛争となるきっかけ)がイスラエル側であることも多い(大半はイスラエル軍の行動に起因している)。そういう点で、パレスチナ関するひとつひとつの紛争の細かな事実について、本当の真実が何かをメディアに求めることはできない。メディアの伝える事実を手がかりに大まかにその背後にあることを推理していくしかない。

 
 パレスチナ人のテロにより被害を受けた一般のユダヤ人はもちろん被害者であるし、その行為を行ったパレスチナ人はもちろん加害者(犯罪者)である。しかしこの被害者加害者の後ろには、それぞれ本当の加害者が存在する。

 
 一方はハマスなどのテロ組織(あるいはそれに協力する者)であり、一方は強硬な政策をとるイスラエル政府(あるいは強硬姿勢を支持するイスラエル国民)である。そしてその加害者の背後に、さらなる大きな利害関係国が存在する。そのはざまで、両国の一般国民はなすすべがない。ただメディアの報道で、ある出来事の対象者(たとえば被害者の数字となって)と扱われるだけである。

 
 パレスチナ問題の解決はいつどのような形で実現するのか。分かる人間はいないだろう。もちろん私にも分からない。しかし「解決」策(案)なくして解決が存在しないことは確かだ。ただしイスラエルが一方的に土地の多くをを占領する形での解決は「解決」ではない。それは「侵奪」である。しかし今回のようなイスラエル政府の新たな入植地の決定を見る限り、事実はどうもその方向を向いているように思える。これではイスラエルは国際社会(アメリカを除く)の理解を得られない。

  
 抽象的な言い方しかできないが、この問題の解決は結局のところ両者が憎しみの構図を捨て、新たにそれぞれの国の未来に目を向け互いに譲歩しあうことだ。そのためには、イスラエル側の領土問題に関する譲歩がもっとも有効な手段といえる。

  
 これはもともとの理屈からいっても決しておかしくはない。イスラエルにとってはもともと建国そのものが目的であったはずだ。領土の拡大が目的でなかったはずである。もしイスラエルが領土の範囲でかなりの譲歩をすれば、イスラエルに対する国際社会の理解にもつながる。それはイスラエルの将来にとっても決して損な話ではない。


  他にも帰還権をめぐる問題など解決すべき難しい問題点も多い。しかし今は両者が寛容な心を持ち、未来に目を向け譲歩しあうことで解決していくしか道はない。様々な問題を乗り越え、パレスチナの地にいつの日か平和の日々が訪れることを願いたいと思う。
by phtk7161 | 2008-03-15 19:40