チベット問題・・・ダライラマとアラファトと
2008年 04月 10日
チベット問題がおさまりそうもない。そんな最中、今日ダライラマが日本立ち寄った。安倍元首相夫人が会うようだ。おそらく安倍氏本人が会うとすれば一応はそれでも日本の元首相、政治の当事者だけに中国側の反発は強くなる。それを考慮してこういう形をとったのではないか。それにしても再起宣言したとはいえ、こういう形でからんでくるとは。政治家というものはいやはや・・・。
ダライラマはチベット最高指導者として認められている。しかしチベット問題における彼の考えは、中国からの完全独立ではなく、チベットの自治権の確立である。中国と対峙するところがあるといっても、完全独立をめざすグループと彼の考えには差があるといっていいだろう。独立派が理想主義なら、ダライラマは現実主義といったところか。
今回の件で中国はダライラマを強く批判する。すなわち暴動は彼が先導したとの主張である。彼こそ今回の最大の責任者というわけだ。またこの件の終息を願う各国首脳も中国政府とダライラマの対話を促す。いずれにしても中国や中国を批判する他国も、チベット問題の解決にもっとも適した人材がダライラマであること考えている点では共通している。またそうするしかない。他に解決の糸口を見つけようにも、他に適材といえる人物はいないからである。彼に頼らざるを得ないのだ。
しかし彼が問題を解決できるだけのチベット側の人材として、全権的な大きな力をもっているかというとそれは疑問である。もちろん一定の影響力はあるだろう。しかしそれも限られたものであるように思える。特に完全独立をめざす勢力に対して、彼の影響力には限りがあるのではないか。このところの流れを見るとそう考えざるをえない。
これは少し前のパレスチナ紛争の状況にも似ている。アラファトはパレスチナ側の第一人者であったが、近年では彼の影響力はかなり限定されていた。パレスチナ側内部でも彼に対する強い不満はあったといってよい。しかしイスラエルや他の国(たとえばアメリカ)にとって、交渉において彼以外に適材といえる人物がなかなかいなかった。交渉の効果は限定的にしか期待できないとはいえ、結局やはり彼を相手にするしかないのである。
そういう状況になったのは、いずれの国もアラファトが一時カリスマ的存在であり、交渉に際して彼に全権的な期待を寄せたことも大きい。しかしそのことが、この問題の有効(現実的)な解決策を遅らしてしまったともいえなくもない。
☆ ☆ ☆
チベット問題・パレスチナ問題どちらにしても、問題についての主張の正当性(領土に関する)がチベット・パレスチナにあることはいうまでもない。しかし残念ながら国際政治においては、軍事力の前に当たり前の主張が当たり前に通らない現実がある。その場合、正当性を持つ側が、どういう(現実的)解決を選ぶかも問題解決のひとつの鍵となってくる。そして理想と現実はざまで、同じ仲間同士の対立が内部で起きてしまう。ここに独立(パレスチナも独立に値する領土を認められるかどうかという点で実質的には同じである)をめぐる問題の難しさがある。
パレスチナ同様にチベット内部でも、今や問題解決の考え方には温度差がある。そして完全独立を目指す側には、もはやダライラマの意思に従うつもりがないようにも見受けられる。そういうなかで、ダライラマ一人に問題解決の全権的な力を期待しても、その実現は遠いように思う。
内部を全権掌握していない相手に対してしか、交渉の効果を期待するしかない今のチベット問題。しかしまた限定的力しか持たない彼以外に、この問題の適任者がみ見当たらない。パレスチナのときと同じ状況にありつつあるといっていいだろう。ここに国際政治の矛盾した現実と解決困難な問題の構図がある。
ダライラマはチベット最高指導者として認められている。しかしチベット問題における彼の考えは、中国からの完全独立ではなく、チベットの自治権の確立である。中国と対峙するところがあるといっても、完全独立をめざすグループと彼の考えには差があるといっていいだろう。独立派が理想主義なら、ダライラマは現実主義といったところか。
今回の件で中国はダライラマを強く批判する。すなわち暴動は彼が先導したとの主張である。彼こそ今回の最大の責任者というわけだ。またこの件の終息を願う各国首脳も中国政府とダライラマの対話を促す。いずれにしても中国や中国を批判する他国も、チベット問題の解決にもっとも適した人材がダライラマであること考えている点では共通している。またそうするしかない。他に解決の糸口を見つけようにも、他に適材といえる人物はいないからである。彼に頼らざるを得ないのだ。
しかし彼が問題を解決できるだけのチベット側の人材として、全権的な大きな力をもっているかというとそれは疑問である。もちろん一定の影響力はあるだろう。しかしそれも限られたものであるように思える。特に完全独立をめざす勢力に対して、彼の影響力には限りがあるのではないか。このところの流れを見るとそう考えざるをえない。
これは少し前のパレスチナ紛争の状況にも似ている。アラファトはパレスチナ側の第一人者であったが、近年では彼の影響力はかなり限定されていた。パレスチナ側内部でも彼に対する強い不満はあったといってよい。しかしイスラエルや他の国(たとえばアメリカ)にとって、交渉において彼以外に適材といえる人物がなかなかいなかった。交渉の効果は限定的にしか期待できないとはいえ、結局やはり彼を相手にするしかないのである。
そういう状況になったのは、いずれの国もアラファトが一時カリスマ的存在であり、交渉に際して彼に全権的な期待を寄せたことも大きい。しかしそのことが、この問題の有効(現実的)な解決策を遅らしてしまったともいえなくもない。
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チベット問題・パレスチナ問題どちらにしても、問題についての主張の正当性(領土に関する)がチベット・パレスチナにあることはいうまでもない。しかし残念ながら国際政治においては、軍事力の前に当たり前の主張が当たり前に通らない現実がある。その場合、正当性を持つ側が、どういう(現実的)解決を選ぶかも問題解決のひとつの鍵となってくる。そして理想と現実はざまで、同じ仲間同士の対立が内部で起きてしまう。ここに独立(パレスチナも独立に値する領土を認められるかどうかという点で実質的には同じである)をめぐる問題の難しさがある。
パレスチナ同様にチベット内部でも、今や問題解決の考え方には温度差がある。そして完全独立を目指す側には、もはやダライラマの意思に従うつもりがないようにも見受けられる。そういうなかで、ダライラマ一人に問題解決の全権的な力を期待しても、その実現は遠いように思う。
内部を全権掌握していない相手に対してしか、交渉の効果を期待するしかない今のチベット問題。しかしまた限定的力しか持たない彼以外に、この問題の適任者がみ見当たらない。パレスチナのときと同じ状況にありつつあるといっていいだろう。ここに国際政治の矛盾した現実と解決困難な問題の構図がある。
by phtk7161
| 2008-04-10 18:54