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社会問題を考える


by phtk7161
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オリンピック競技をふり返って・・・その(2)陸上400mリレー

今回までオリンピック競技について記します。ご容赦を。

今大会一番うれしかったのは、何といっても陸上の400mリレーの銅メダルである。朝原・末次亮選手についてはちょうど一年前のブログ(2007年8月27日)で記した通りで、そのすごさはいまさら言うまでもない。両選手とも近年の陸上界を牽引してきた。

今回の銅メダルは、この両選手の世界で戦ってきた経験が生かされた結果だと思う。塚原・高平若い選手もいい形でこれに応えてくれた。両ベテラン(末次選手には失礼かもしれないが、あえて)の存在は、若い両選手に精神的に落ち着きをもたらした。これが大きい。

メダルの有力国(アメリカなど)のバトンの失敗があったからこの結果になった。運がよかった。そういう意見もあるかもしれない。でもそれは違う。北京大会での時点で日本が世界で3番目に速かった。それがオリンピックの事実の全てだ。みんなが同じルールで戦っている。そこに有利も不利もない。

バトンのつなぎもリレーでは重要なポイントだ。失敗した国は、ここ一番肝心なときにそれがきちっとできる能力がなかった。しかし日本はそれをきちんとやれる技術とそしてスピード、その総合能力がメダルを取れなかった国より北京の時点で高かった。だからこの結果となった。それだけのことである。

塚原選手の前半のスピード(ことに70mくらいまで)はなかなかのものだ。昔の飯島選手タイプといえるだろう。高平選手のコーナーリングは世界でもかなりのレベルといえるだろう。

そして忘れてならないのは補欠に回った斉藤仁志選手の存在。今の彼なら末次選手にひけをとらない。レース前に誰かに何かあっても十分対応できる体制が取れる形になっていた。これも目に見えない大きなプラス面だったといえる。そういう意味では、今回の銅メダル、彼も含めた5人で勝ち取ったメダルといえるだろう。

朝原選手が言っていた通り、今回のメダルは長い経験を経てえられたものである。陸上の高野監督が現役時代400mで世界のファイナリストに入り、かなり遠くでなかなかみえなかった世界の背中がようやく見えるようになった。そしてその高野監督もまた、それまでの選手の経験から多くのことを学び、結果につなげた。そうまさに「ローマは一日にしてならず」なのだ。

それは大リーグで活躍する今のイチローなどの日本人選手の活躍までに、その本道を作った野茂英雄という存在、あるいは小さい道筋かもしれないが野茂よりかなり前にそれを開拓して見せたマッシー村上の存在の重要さと同じであるといえるだろう。

オリンピック競技の好みは人それぞれだ。私の場合は、陸上ことに100m・200・400mと400m・1600mリレーが好きである。ハイスピードで走るという競技のシンプルさ。一番速くゴールしたものが勝利者という勝敗のシンプルさ。体重・身長関係ない。フォームも関係ない(ある意味自由形一本)。

もちろん選手にとっては、ミクロの技術を追求する競技なのだが、見る側にとって道具を使わずスピードと外形的シンプルさがあふれているこの競技は、私を何よりも楽しく興奮させてくれる。オリンピックでメダルに縁のなかったこれらの競技でついにメダルを獲得した。それはまさに歴史を塗り替える出来事である。

朝原選手は、正直この北京ではメダルは取れると思っていなかったと思う。それがここにきてのメダル獲得。だから人生は分からない。「努力と工夫を重ねてやっていれば、そのうちいいこともある」。そういう(オリンピック)ドラマもたまにはなければつまらない。それをみせてくれた400mリレーの銅メダル物語は、何よりすばらしいドラマだったといえるだろう。
by phtk7161 | 2008-08-26 06:02