社会問題を考える


by phtk7161
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2007年 11月 26日 ( 1 )

 オーストラリアの総選挙は野党労働党の勝利となった。今回の選挙結果は単なる与党の敗北を意味しない。与党保守連合のハワード首相の落選という結果も含め考えるなら、それは今のアメリカ絶対主義の政治の流れをかえるべきとするメッセージが、国民から示されたといっていいであろう。

 ある新聞の社説に「与党が敗れたのは政策が否定されたのではなく、単に飽きられたからだ」という見解がのっていたがそれは違う。現実の生活から全く離れて単に飽きたかどうかで投票行動をおこすほど、オーストラリア国民は馬鹿ではない。

 9・11以降ネオコンによるアメリカ政治への強い関与は、他の自由主義国家にも強い影響を与えた。イラク戦争への参加あるいは支持を各国が表明しその形は、テロ対策の名ので自らの政権に対峙するもの(政党など)への攻撃材料として利用されてきた。さらにわが国の場合はそれにとどまらず、経済面でも構造改革という名のもと、実質小さな政府による格差的社会を当然に是とする経済構造の構築ということにも使われてきたといってよい。

 イラク攻撃の正当性に関しては、多くの国家で政府と国民との間には相違があったといえる。政府は力にものをいわすブッシュ政権の威光をおそれ(実際つい昨今までかなりやくざな政権だった)機嫌を損なわないよう進んで支持を表明してきた。もちろんその背景にアメリカとのつながりを通して(強調して)、政府が自らの政治地盤を固めようとする意向もあったといえるだろう。

 しかし国民(アメリカ国民をのぞく)のほうはそうではない。多くの国家の国民がイラク攻撃の正当性につい絶対的NOを表明していた。ただそうであってもイラク問題は選挙の争点にはなりえず(本当は政策の流れの根幹にそれはあったのだが)自国の政権選択には結びつかなかった。

 それは選挙というものが自国内の問題を一番の争点にすることもあるが、それだけではない。アメリカ国民がイラク政策の失敗が見えていたにもかかわらず、ブッシュを再選させてしまった点にもあった。これが、各国の政府の立ち直りをさらに遅らせてしまったといえる。

 しかし遅ればせながら(それも本当に遅ればせながらであるが)中間選挙で共和党が惨敗したときから(上院までひっくりかえされた事実をみればそういっていいと思う)流れはかわってきた。アメリカ国民がブッシュ政策にNOをつきつけ、その現実が各国の国民に「ネオコン的(喧嘩好き)アメリカとは距離をおけ」というメッセージで、選挙の際の政権選択にも影響を与えだしたのである。

 それが今回のオーストラリアの総選挙にもでたということである。この7年(特にアメリカの中間選挙まで)世界は調和を捨て「力」で突き進んできた。それは何も安全保障の問題だけではない。経済政策でもそうだ。そこでは得たものより失ったもののほうがはるかに大きい。

 国際問題でいえば、イランの問題よりプーチン政権の体質を強圧にさせてしまったことの方が一番の問題といえる。アメリカのイラク攻撃での先制権的自衛権というたわごとは、チェチェン問題にも利用されプーチンの独裁をロシアにもたらした。このままではロシアでは完全に自由主義の萌芽は消えてしまうだろう。

 経済問題いえば名目の経済数字だけは上がった国もあるにはあるが(オーストリアもそうであった)、平均的国民の実質的生活は豊かになったかというそうではない。まともな立憲民主主義国家であるなら、最低限の人間の存在さえ認めない経済構造を取る政治は政治ではない。一部だけの突出した繁栄を是とする社会構造は、これから多くの国家で問題となってくるはずだ。

 「友好的関係は必要だとしても、マイブーム的にアメリカ化(特に共和党的)する国家でいいのか」それに対する答えをだしたのが今回のオーストラリアの総選挙の結果といってよい。そしてそれは、いよいよ世界がアメリカの次期民主党政権に向け動き出しているということのあらわれともいえるだろう。

  

  
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by phtk7161 | 2007-11-26 17:37