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社会問題を考える


by phtk7161
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現代の政治家に求められる要素とは

昨今の、日本の政治における最大の問題点は、ものごとを決定する過程での、その思考のやりかたにある。
そこでは、物事の決定思考が、○か×かの2者択一式である。
これは、政治的意思決定の方法としては、もっとも愚かな思考法であるといえよう。

政治はそもそも、数学的論理でやれるものではない。
政治の本質は、過去の歴史から経験則をみにつけ、それをふまえたうえで、多様な意見のもとに、いい意味での妥協的案を見出していくことにある。
それがない政治は、たんなる原始的な物理力のみのバイキング型政治に堕するだけである。
立憲民主主義制度に参加する国民は、少なくともこのことは理解しておく必要がある。

政治にスーパーマンやジャンヌダルク的ヒローを求めることは、常に危険がつきまとう。
一人の政治家によって、彼が常に正解をだせるとしたら、それはまさに彼が神であったときだけだ(もっとも、ギリシャ神話においては、その神も感情的決定をなすこともある)。

今の現代社会において、もっとも求められるべき政治家像は、多様な意見を合理的方法でなるべく迅速に把握し、妥当な妥協案(おとしどころ)を決定していく能力である。
これができない政治家がふえれば、核がはびこる今の状況では、いずれはどこかでまた大戦がおき、結局焼け野原の結論をだすことになろう。

アメリカは北朝鮮の核実験にさいして、「同盟国を守るためなら」という表現を使った。
今のアメリカの頭には、国連はもはや二の次であって、国連とは別の、同盟国(有志連合)による同盟国のための、その実アメリカ国益最優先のための、国連構築の構想があると思われる。
派閥ができることは、どの世界でも当たり前のことだし(三人よれば派閥ができる)、それ自体はさして悪いことではないが、同盟国という名の派閥の親分が暴走してしまうと(少なくともイラクはそうであった)他国は巻き込まれるだけで、一方的に自国の運命をあずける事態になってしまうだけある。
そこでは、他の国には自国の利益もへったくれもない。

今のタカ派的日本の政治家は、日本がアメリカの意向に沿ってアジア領域の軍事的先発隊になることに、ある種の感慨(親分にほめられてよろこぶ子分)をもつ人物が多いように思える。

少し前まで、戦後の日本の政治家は、アメリカは同盟国(子分的立場であることは認識しつつも)といいつつ、いい意味での曖昧さを駆使して、軍事的トラブルを避け、経済政策を優先し、国民の生命安全を図ることを行ってきた。
日本の歴史的経緯、地理的立場からみても、そのことは最善ではないとしても、少なくとも間違った政策ではなかったといえる。
そこでは、先に述べた、いい意味でのおとしどころを、見つける努力がおこなわれていたといえよう。

そのことから考えると、昨今のタカ派政治家は「軍事ごっこ」の危険なお遊びに手を染めすぎている。
テレビのヒーローもの、戦争ドラマ、あるいは育った極端な家庭環境などに影響された戦後政治家、そうでなければ、はたまた戦争にいくつもりが、途中で戦争が終了し、はしごをはずされた、燃えカスの野残った軍国少年的政治家。
彼らが、タカ派政治家の典型的なものである。
彼らに、おとしどころを心得た、優れた政治家の要素はもとめるべくもない。

9・11後のアメリカは、間違いなく壊れている。
イラク戦争の反省もあり、いくらか戻りつつあるが、少なくともネオコン的人物が、政治の表舞台からは去らない限り、まともさを取り戻したとはいえない。
そのことを踏まえ、アメリカが今現在どういう質の国家なのかきちんと把握しないまま、日本が集団的自衛権を認めることになるなら、日本は戦争という大きな危険へ一歩ふみだすことになるであろう。

今世界で、人種や宗教、あるいは政治思想に起因する戦争が頻発している。
この問題の解決するには、物理的「力」だけではなしえない(イラクはまさにそれを証明したし、パレスチナ問題もまたしかりである)ことを私たちは認識すべきである。
それを解決するのは、○×的な100パーセントの結論ではなく、多様な意見をつき合わせより良く練られた、妥協的70パーセントの結論である。
それが、現代の政治のあるべき姿である。
そして、それができる能力こそが、今の政治家にもっとも求められるべきものであると思う。
by phtk7161 | 2006-10-12 10:26