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社会問題を考える


by phtk7161
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シエスパの天然ガス爆発事故・・・その(一)法的責任について

 渋谷区松涛のシエスパのガス爆発事故から1週間近くたった。従業員と近くを歩いていた一般人が犠牲となった。あまりに気の毒で、言葉もない。しかし場所がらからして、被害がもっと大規模なものにならなかったのは奇跡的である。ひとつ間違えば前代未聞の大惨事となっていたであろう。

 事故の原因は、はっきり言って人災である。運営会社(ユニマットビューティアンドスパ)や管理会社は、自己以外のところに責任の所在と求めたいであろうがそれは無理である。彼らは責任を逃れることはできない。

       ☆      ☆      ☆

 もっとも責任の度合いは運営会社と管理会社で異なってくる。弁護士がどうごちゃごちゃいってみたところで、責任は圧倒的に運営会社ユニマットビューティアンドスパにある。

 管理会社(元請け)は、運営会社との契約内容でガスの安全管理上の義務があった場合(文言で明記されていた場合など)には当然責任がある。しかし契約上の責任がなかったとしても、管理契約をするにあったって安全管理面(ガス施設に関する)での適切なアドバイスをしてこなかった付随的責任が、場合によっては問われる余地はあろう。もしそういうアドバイスまでしていたのに、運営会社がそれを無視していたのであれば、その場合管理会社に責任はないことになる。

 ユニマットビューティアンドスパの社長の事故の責任に関する発言が、最初の記者会見以降聞こえてこないのも、おそらく会社側の責任を最小限度にしたいとする会社(役員や弁護士)の意向があるからであろう。しかし、運営会社側はどう法をいじってみたところで、従業員に対する安全配慮義務違反の責任はまぬがれないし、一般の方に対する不法行為責任も免れない。

 運営会社は、今回の件を管理会社に責任を転嫁する方向でいく気なのかもしれないが、それはこの種の事件に関する法の大原則からすれば、無駄なことである。

 この種の場合の大原則、すなわち天然ガスを利用してもっとも多大な利益を受けるところはどこか、利益に比例して責任も伴う(報償的観点)この大原則からすれば、運営会社であるユニマットビューティアンドスパがほぼ全面的に責任をおって当然(管理会社にも連帯債務を負わせる場合も含む)である。もし今後の動きがそういう方向にならなかった場合は、なにかおかしな政治的力が働いた場合と考えてよいであろう。

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 せっかくここまで業績を伸ばしてきた会社をストップすることは残念であろうが、しかし事故の規模から考えて、ここは被害にあわれた方の救済を運営会社は第一に考えていくしかない。もちろん、設備投資のために多大な債務をまだ抱えているかいしゃであろうから、バックにいる本当の運営者(社)や銀行(あるいは投資会社)は自己の債権の回収にすでに動きだしているだろう。

 しかし、そのために被害者の救済が手薄になっていいはずがない。そういうことがやすやすと通るようなら、法的責任の土台がしっかりしていない今の新自由主義経済の制度は、やはりハリボテ的な構造(経済システム)であるということになる。

 すくなくとも、ユニマットビューティアンドスパの社長は、今の新自由主義経済の典型的な経営者であることは間違いない。そういう意味で、私はこの事件の事後処理が今後どう行われるか(きっちり責任を取れるか)により注目している。
by phtk7161 | 2007-06-25 14:38