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社会問題を考える


by phtk7161
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沖縄住民の集団自決を記述(軍の命令を肯定)した教科書に対する検定の問題点

  沖縄での軍の命令による住民の集団自決に関する教科書の記述が、検定で削除された問題で沖縄では大規模な集会が開かれた。そのためか教科書で削除された記述の復活が検討されることとなった。

  この件でまたしょうもない戦前復古大好き議員や評論家がごちゃごちゃいいだすだろうなと思っていたら、やっぱりいいだしたのが例えば中山元文部大臣と桜井女史。

 中山議員の方は「一県民の集会で検定基準がかえられていいのか」とほえていたが、もともと政治的思惑による検定で、このの箇所が削除されたのが問題の発端なのだ。その根拠も裁判で元幹部の軍人が一民事裁判で「命令はなかった」との証言などにもとづいている。

 この裁判での証言。これがあればなぜそれが真実といえるのか理解に苦しむ。証言はただの証拠にすぎない。しかも訴訟の当事者なのだから、自らに都合のいい証言をすることは容易にあるだろう。つまり裁判における証拠(証言)=真実とはいえないのだ。これを文部省側が検定での削除の根拠としていることにはどうにも理解に苦しむ。

 百歩譲って仮に彼が認識した範囲がそうであったとしても、彼の知る範囲外で命令の事実はあったかもしれないのだ。それに現にまだ生存されている住民の人の証言にもかなりの説得力がある。この点文部省はどう考えるのか。

 以上を前提に考えれば、一方の側の言い分だけで「軍の命令」についての箇所は削除されたいえる。これはあきらかに検定のありかたとしてフェアーではない。いいかえれば公正・中立であるはずの検定制度に政治的決定が持ち込まれた現われでもある。そういう意味では中山議員がほえた内容は自らにつばする行為に等しい。文部大臣だった彼のほうこそ自らの立場の説(命令はなかったとする考え)を検定制度に持ち込み制度を政治化させたといえる。

 また桜井女史も裁判の元軍人にインタビューし彼の話が本当だという「感想」をもったと新聞のコメントで答えている。しかしこれまた一方的であろう。反対の根拠となる住民の証言者にはなぜインタビューしないのか。もしすでにそうしているのなら、その場合には証言者の何をもってそれが「本当でない」と思うのか。その分の説明も必要なはずだ。それをしないままの彼女のコメントは、結局自身の一方的見方にすぎない。明らかに「客観性」に欠けていよう。

 軍の命令の記述の箇所が検定で削除された背景には、この検定がなされた当時の政治状況が大きく影響しているのはいうまでもない。すなわち当時の安倍内閣のタカ派的意思である。いいかえれば戦前復古主義的タカ派思考の産物これが今回の検定をめぐる問題の本質である。しかし参議院選の結果により、いきすぎたイケイケ思考は(もっともこのイケイケは戦前という古い方向をむいているが)は正される時期なのだ。イケイケ検定の結果も元に戻されて当然なのだ。

 
by phtk7161 | 2007-10-07 16:36