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社会問題を考える


by phtk7161
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秋葉原・八王子の通り魔殺傷事件の犯人からみえてくるもの

通り魔による殺傷事件がまたもや起きた。それぞれの事件を細かくみていけば、違う点も多い。しかし事件の本質をみるとき、犯人に共通した点もみうけられる。たとえば理想と現実のギャップに対する不満、あるいは孤独感、さらには感情コントロールの未熟さなどそうであろう。そしてこれらの共通した特徴は、彼らが今もって幼児性から脱し切れていないことを示すものといえる。

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人は成長に伴って親との距離間(自我の目覚め)、さらには社会との距離間もかえていく。前者でいえば親の干渉を避け一個の主体的人格としての行動をとりたがることがそうだし・・・たとえば反抗期も時にそのひとつの表れといえる・・・後者でいえば、学生時代やんちゃをやっていた人間が社会人になるとそれなりの行動をとるのがそうだ。

そうやって人は、距離を調整し一個の主体的人格者として社会との折り合いをつけていく。そしてこれらは人が成長していくうえでの重要なファクターでもある。ところが昨今、この距離感をうまく取れない人間がふえている。

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距離を測るとはどういうことか。それは自分なりの・・・主体性(それを意識しているかどうかに関係なく)・・・感情面での生き方の術(フォーム)を身ににつけていくということに他ならない

人は多かれ少なかれ誰でも夢を持つ。具体的な場合であれば「○○(学校)にはいりたい」「あるいは○○(職業)になりたい」というのがそうだし、抽象的であれば「金持ちになりたい」「女性(男性)にもてたい」ということなどがそうであろう。こういう夢がかなうことは、もちろんそう多くあるわけではない。夢と現実のギャップの中、不満を持ちながらも社会の中で人はそれなりに社会の中で暮らしていかなければならない。

そのために人は社会との調整の方を学んでいく。たとえば本音を話せる相手をもつこともそうであろう。そういう相手がいなければ、経済的社会とは別に他にも独自の場所・・・趣味的なものこれには遊びだけでなく学問的なもの(例えば哲学もそうであろう)もはいる・・・をもつこともそうだ。あるいは理想は持ちつつも現状ではそれが困難な場合、それを緩和した形で持ち続けることもそうであろう。そうやって人は自らの舵の機能を阻害する要因を取り除いていき、現実の社会との距離の調整をしていくのである。

その距離の調整ができずに、現実への不満の形を人を殺傷することで埋めようとした人間が、まさに秋葉原や八王子の犯人である。そこには、成長過程で距離感の調整をできないまま育った人間像がある。

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もちろん子供に対する家庭教育は、それぞれの子供の性格や家庭環境に違いもあるから、具体的な形で一概にこうすべきであると決め付けることはできない。ただ抽象的な形なら、ある程度いえることがある。

それは子供の成長過程に伴って、保護者(親)は子供の人格の一個性を意識しなければならないということである。それはまた、子供に自らの頭で社会との距離感をどうとるか考えさせるということでもある。そのためには過度の干渉が禁物なのはいうまでもない。社会との距離調整ができないまま子供を社会に出すこと、それは彼に舵を取る機能のない(最低限の感情コントロールのできないまま)まま航行(一般社会に参加)させるのと同じである。

秋葉原と八王子の犯人は、この調整能力をもてないまま社会にでてしまったといえる。外見的にはそう見えなくても、心の面での社会との調整能力をもてないままここまできてしまったということだ。それはまさに幼児性に他ならない。幼児が感情にまかせて泣き叫ぶように彼らも感情にまかせるままの行動をとった。そういうことである。

自らの存在を社会に・・・・あるいは特定の誰かにという場合もあろう・・・確認させるために事件を起こした通り魔によるこれらの事件。犯人である彼らにとって、自分の存在を社会に通してくれるもの、それはマスコミである。そのマスコミに自らの存在をとりあげさせるための手段、それがすなわち通り魔である。その思考はまさに、他者の存在価値を意識しない幼児そのものの思考である。彼ら(犯人)は単に泣き叫んでいたにすぎない。舵を操る術をしらないまま育った人間の姿がそこにはある。
by phtk7161 | 2008-07-24 05:52